心ごと

臨床心理専門職大学院での勉強内容と、勉強方法

なりたい職業ランキング上位にランクインするなど、今後ますます臨床心理士の需要が高まることが予想されます。しかし、臨床心理士になるためには大学院に進学しなければなりません。大学院の中でも今回は、実践に重きをおいた専門職大学院についてお話していきます。専門職大学院では主にどんな勉強をするのか、どんなことが学べるのかについて、私の体験を元に説明していきますね。

 

大学院での授業

 

専門職大学院は研究が義務ではないので、授業の時間が指定大学院よりも多いです。ただ、授業と言っても心理学部の授業とは全く違い、より専門的・実践的な内容になっています。一年生と二年生で学ぶ内容について説明していきますね。

 

一年生

 

大学院とはいえ、一年生のときは授業がほとんどです。一年生の授業内容としてはざっくり分けて

 

・アセスメント(心理検査)

・傾聴、心理療法

・カンファレンス(事例検討会議みたいなやつ)

 

があります。

 

一つずつ説明していきますね。

 
・アセスメント(心理検査)

特に医療領域などで心理職として働きたい方は、心理検査を学ぶことは必須です。

主に授業で使われるのは、扱う機会が多い知能検査のWAIS、WISCや、発達検査のK式など。

 

実施手順を学ぶだけではなく、検査のそれぞれの下位項目ではどんなことを測っているのか、測ったことからどんなことが読み取れるのか、そしてその内容を所見にまとめる文章力も必要です。

 

・傾聴、心理療法

 

カウンセラーとしての第一歩として、まずは傾聴練習を叩き込まれます。どんなカウンセリング・心理療法においても、傾聴は基礎中の基礎であるから。健康度の高い人であれば、傾聴するだけでも効果があったりします。

 

その後、大学院教授の専門分野によってはパーソンセンタードアプローチ、精神分析、CBTなども学んでいきます。

 
・カンファレンス(事例検討会議みたいなやつ)

一つの事例を、固有名詞は伏せて個人情報の守秘に徹底した上で、集団で「相談に来られたクライエントは、どんな状況で、どう悩んでるのか考え、どんな支援が最適なのか」検討します。

 

集団でひとつの事例について考えることで、いろんな視点から考えるのが目的。といっても、一年生のうちはまっっっっったくついていけません。心理士としての視点が身についていないので、クライエントの悩みの本質について見極める力がないから。

 

精神分析学派、認知行動療法学派、人間性心理学派、折衷派など、同じ心理士でも着目する視点がぜんぜん違うので、そうした多様な視点を持つ先生方の見立てを聞くのはとてもタメになります。

 

他にも、一年生次の授業としては発達心理、人格心理、家族心理、精神医学、司法心理、福祉心理、地域臨床…などなど、学ぶことがいっぱいあります。

 

二年生

 

二年生になると実際にカウンセリングをしたり、スーパーバイズ(カウンセリングの指導)をうけたり、実習に行ったり、より実践的な内容になってきます。

 

カウンセリングをして、その逐語記録や自分の考えを元に先生から指導を受け、またカウンセリングに望むということを繰り返します。それによって、より専門的な視点、アプローチが身についてきます。

 

知識と実践の繰り返しが大事

 

学部時代ではどれだけ勉強しても分からなかったものが、大学院生になるとスラスラ分かるようになります。

 

これはつまり、知識と実践は全く別物なので、知識だけ学んでも効果が薄いから。心理学部では知識だけ教えられて実践がほぼないから、なかなかわかりにくい。

 

経験がないと、知識を自分のものとして考え直すことができないし、逆に、経験だけ積んでも勉強にはなりません。自分ひとりだけの経験では学びにならないから。

知識と実践は、車の両輪のようなイメージ。どちらもスムーズに回らないとうまく進めません。

 

なので、2年生になってからは担当ケースや実習(実践)に合わせて、この精神疾患にはこの対応がエビデンスがあるとかいうことを、論文や本を読んで細かい勉強(知識)をしていくことが求められます。おそらく、心理士として実践をしつづける以上は、一生勉強しなくてはなりません。

 

おすすめの本

 

ということで、大学院の時に読んで非常にタメになった本を紹介しておきます。随時更新していきます!

 

 

精神分析集中講義上・下  藤山直樹

フロイトから対象関係論まで、どんな議論があり、どんな展開があり進んできたのかがわかる本。精神分析を学び始める最初の本はぜっっったいこれ。

大学生に向けた一年間の講義を書き起こしたものなので、読みやすいのもポイント。これを読め。

 

対象関係論を学ぶ  松木邦裕

で、対象関係論が気になりだしたらこの本を読んだらいいと思う。

その後はクライン→ビオン・ウィニコットと読み進めていきましょう。

 

メンタライジングアプローチ入門  上地雄一郎

メンタライジングとは、簡単に言うと「心について考える力」を育むアプローチ。メンタライジングを使わないにしろ、読んどいて損はないと思う。

 

プレイセラピー 関係性の営み  ゲリー・L・ランドレス

プレイセラピーについて書かれた分厚い本。とりあえずこれ読んどいたらプレイセラピーでどんなことに気をつけて、どんなことを目指せばいいのかわかる。

 

子どものための精神医学  滝川一廣

子どもの発達は関係の発達と、認識の発達からなるっていう考え方。発達論についてはこれがめちゃくちゃわかりやすい。