心ごと

ウィニコットの理論について

対象関係論のなかでも、特に人気があるウィニコット。人との関わりを重視した、優しい理論を展開しています。この記事ではウィニコットの理論や用語について説明していきますね。

 

ウィニコットの理論の概要

 ウィニコットの理論の中核をしめるのは「早期乳幼児の発達理論」です。

 

ウィニコットはもともと小児科医として活動していました。そのため、ウィニコットの理論は人との関わりを特に重視しています。

 

幼児がいるところには必ず母親の育児があるし、母親の育児がなければ幼児は存在できないことから、幼児と母親は分けて考えられるものではない。幼児と母親は育児という関係において常にひとつの単位を形成していると考えたのです。

 

ウィニコットは、前言語的段階にある乳幼児を分析対象とすることから、乳幼児を「抱える」母親をも含めた「母子関係」を基本的な分析単位として独自の理論を展開しました。

 

依存について

 また、ウィニコットは依存を重視し、依存を治療の中で許容していく治療態度を取りました。

ウィニコットは、「依存への退行こそがそれまでに停頓していた情緒発達を前進させる契機となる」と述べています。それでは、ウィニコットの考える依存の段階について説明していきますね。

 

絶対的依存段階

 妊娠最終期から2.3ヶ月までの期間。この段階では、母親は乳児が生きるための欲求をあたかも自分自身の欲求のように感じ、それを満たすことに専念する生活をします。(母親の原初的とらわれ状態)

 

母親の原初的とらわれによって作り出された、子供を支える環境(holding)は、そのまま子供の成長と共に子供の心の中に取り入れられ、子供の心の中で自分を支えるお母さんとなり、肯定的な自己認識の基盤となります。

 

自分の心の中にお母さんがいることで、子供は一人でいることができる能力を獲得します。

 

 

相対的依存段階

 生後5ヶ月から6ヶ月頃に、子供は視覚が発達し、自己と他者の区別がついてきます。このことは子供にとって大きな影響を与えるし、ウィニコットも重要な移行段階だと考えます。この段階の子供は、主観的対象である母親の顔に反映した、母親にとっての対象である自分を見ています。(鏡の役割)

 

独立への方向

 上記の、これらのようなことが確立されると、子どもは社会と同一化することができます。本当の独立は、社会のできごとに巻きこまれながら、満足な独自の存在を生きる子供の中に発達します。

 

 

不安から罪悪感、罪悪感から思いやりへ

不安とは、自分の心の中の攻撃性に気づいておらず、自分の存在そのものがお母さんを傷つけてしまうのではないかという不安です。

 

自分の中の攻撃性に気づき、傷つけるのは自分の攻撃性のせいだと気づくこと、またそのことに自分で責任感を持つことで不安が罪悪感に変わります。

 

愛するお母さんを自分が傷つけてしまったという罪悪感は、子供にとってショッキングなことです。しかし、その子供の罪悪感にもかかわらず、母親が生きつづけることで、自分が傷つけた母親の傷を修復する機会が与えられるに違いないという確信が生まれ、罪から思いやりに変わります。

 

思いやりとは、自分の中の攻撃性で相手を傷つけるかもしれないということをふまえながら、相手をいたわる気持ちのこと。思いやりを持つことで、アンビバレンスに耐えられる、エディプス葛藤を体験できます。