心ごと

知能検査と発達検査の違いって?歴史から知能指数・偏差知能指数の違いまで

こんにちは、心理大学院生のsunaoと申します。

大学院に入ったばかりの頃、知能検査と発達検査の違いがよくわからないことってあるあるじゃないですか?

 

ここでは、知能検査の始まりから、知能検査と発達検査の違いなどについて、詳しく説明していきますね

 

知能検査の始まり

知能検査の始まりは、1904年にフランスでビネーが「子供の知能を見て、通常学級か特別学級にふりわけるための」見極め検査として始まりました。

発達の遅れている子どもを見極めて、一人ひとりの子どもに合わせた教育をするためですね。

 

その後、正式な知能検査として、1905年にビネーの知能検査が発表されました。

その後も知能検査は発展していき、現在ではビネー式・ウェクスラー式の2つに大きく分かれています。2つの知能検査について説明していきますね。

 

2つの知能検査とその違い

 

 

・ビネー式

 

1905年に初めてできた検査では知能は測定できず、測定されるのは精神年齢のみでした。

精神年齢っていうのは、「5歳の子ならこれくらいできるよね~」っていうテストに合格したら「5歳並みの知能があるね!」って感じで測定するやつ。

 

この時のビネー式検査は、元々子供を対象にしていたこともあり、成人の知能機能の測定は想定されていませんでした。(あとから成人にも対応できる検査を作る)

ビネー式知能検査は、認識能力や全体能力を測定するため「総括的検査」と呼ばれています。

現在では最新の田中ビネー式Ⅴが使われています。

 

・ウェクスラー式知能検査

 

ウェクスラーは成人を対象にしたウェクスラー・ベルビュー検査が1939年に発表されました。

ウェクスラーは言語性・動作性の2つの知能を想定し検査を作成しています。

ウェクスラー式の知能検査には、成人用のWAIS、児童用のWISC、幼児用のWIPPSYがあります。

 

知能検査の変遷

1905年のビネー式知能検査が作られた時代では、大人は現代ほど長生きしなかったため、成人以降の研究にあまり興味がありませんでした。

そのため、知能検査は子供~成人までを対象にしていたので、発達は1歳より5歳、10歳より20歳のほうが優れているというふうに、年齢の加齢ごとに知能も比例して発達していくというものとして考えられてきました

 

しかし、実際には知能は加齢する事にだんだん下がっていく2次関数のグラフを取るので、単純な比例だけで考える知能検査では対応できなくなってしまいます。

 

そこで年齢だけでなく、同一集団の中でどれくらいの能力差があるのかについても求める必要が現れ、単純な知能指数を求めるビネー式知能検査から、偏差知能指数を求めるウェクスラー式知能検査へと移行していきました

 

IQ(知能指数)とDIQ(偏差知能指数)の違い

 

知能指数と偏差知能指数の違いについて考えると、ビネー式とウェクスラー式の決定的な違いが分かりやすいかと思います。

 

ビネー式知能検査で算出する知能指数は、以下のような式で表されます

この式は、年齢が上がるほど知能も上がるという過程の上でたてられていることが分かるでしょうか?

例えば、20歳の大学生の知能と、90歳のおばあちゃんの知能だと、大学生の方がより多くの問題を解けそうですよね。

 

ウェクスラーはこの問題を解決するために、偏差値という考え方を導入します。

平均から外れた分の値を計算し、そこから知能を計算することにしました。大学入試の模試などでも、このように平均値からの外れ値で成績をつけています。

 

ウェクスラー式の偏差知能指数の式は、こんな感じ。

 

これだと、20歳の大学生は20歳の大学生たちと、90歳のおばあちゃんは90歳のおばあちゃんたちのように、同じような知能をもつ集団と比較することで、より正確に知能を測定できるようになりました。

 

「天才も年をとると凡人になる」という言葉のように、発達による知能の変化まで考えて知能を測定しようとしたのがウェクスラーです。

 

ただし、今ではビネー式知能検査も、14歳以上の子供に対しては偏差知能指数で知能を測定するようにしています。

 

 

それぞれの知能検査のメリット

ビネー式などの単純な知能指数を求めるメリットとしては、ビネー式知能検査の方が検査は簡単で負担が少なく、また被検査者を飽きさせないような遊びの要素がつよいというメリットがあります。

 

ビネー式は、だいたいの発達だけが分かればいい時や、子どもの性質のため、速く検査をとりたいとき等に向いています。

ウェクスラー式は、知能をさらに4つの能力に大別しているので(群指数)、個人の知能についてより詳しく調べたい時に向いていると言えるでしょう。

 

発達検査

ただ、乳幼児などはうまく言葉を扱えないので、つみ木遊びや身体の発達、生活の様子などから知能を測る必要があります。知能+運動機能や生活機能、社会性なども含めたものを測る検査として、発達検査が生まれました。

 

知能検査は単純な知能をもとめる検査で、発達検査は運動機能を含めた知的発達をもとめる検査と考えると、2つの検査の違いが分かりやすいと思います。

年齢で言うと、発達検査は乳幼児~幼児くらいまでを対象とし、知能検査は小学校3年生以上くらいを対象とします。

 

さて、発達検査には主に新版K式発達検査2001、遠城寺式発達検査、津守稲毛式発達検査があります。一つずつ解説していきますね。

 

新版K式発達検査2001は直接検査と呼ばれるもので、検査者と対象者が一対一で検査に臨みます。つみ木やお絵かきなど、検査者との遊びを通じて検査を行うのが特徴的です。

 

遠城寺式発達検査は折衷式検査と呼ばれるもので、直接検査と関節検査を織り交ぜています。

 

津守稲毛式発達検査は間接検査と呼ばれ、保護者への聞き取りから検査を行います。子供に対して直接検査が行いにくい場合などに使われます。