心ごと

自分をうまく表現できない人のためのアサーションスキル

「相手の顔色を気にしすぎて自分の意見がいえない…」「本当に自分が伝えたいこととは違ったことを言ってしまう」等、自分の意見をうまく相手に伝えられずに、喧嘩になってしまったり、関係がギクシャクしてしまったなんて経験、ありませんか?

ここでは、自分も相手も尊重したコミュニケーションである、アサーションスキルについて学んで、気持ちのいいコミュニケーションができるようになりましょう。

 

 

 

コミュニケーションにおける3つのタイプの特徴と問題点

 

 人と人のコミュニケーションは大きく【攻撃的・非主張的・アサーションの】3つに分けられるとされています。一つずつ説明していきますね。

 

・攻撃的

 

攻撃的とは、自分の意見や考え、気持ちをハッキリと言うことで、相手の良いぶんや気持ちを無視・軽視して、結果的に相手に自分を押し付けるような言動をいいます。

 

これは、一見するとハキハキものを言っているように思えますが、実際には自分のことだけ考えて他者を踏みにじるコミュニケーションであり、関係性をギクシャクさせてしまいます。

 

・非主張的

 

非主張的とは、自分の気持ちや考えを表現しなかったりしそこなったりする言動をいいます。また、あいまいな言い方、言い訳がましい言い方も含まれます。

 

自己主張をせずに、自分よりも他者を常に優先し、自分のことを後回しにする背景には、「どうせ言っても分かってもらえない」など、自信のなさや卑屈な気持ちがあります。

 

また、自己表現はしていないけど、相手に自分の気持ちを分かってもらいたいという、相手に対する甘えの気持ちもあるので、「譲ってあげたのに分かってくれない」と不満を持つこともあります。

 

このコミュニケーションを続けていると、自身が我慢することが多くなり、不満や恨みがたまり、急に爆発することで「何故かわからないけど急に関係性がわるくなった」ということになり、結果的には相手にも被害が及びます。

 

アサーション

 

アサーティブとは、自分も相手も大切にした自己表現です。自分のことをまず考えるが、他者をも配慮するコミュニケーションとも言えます。

 

アサーティブなコミュニケーションでは、自分の気持ち、考えが正直に、その場にふさわしい方法で表現されます。そして、相手も同じように表現することを推奨します。

 

ただ、お互いが自分の気持ちに素直に表現することで、意見が食い違って葛藤することも出てきます。しかし、その葛藤に対しても、無理に自分を通したり、過剰に譲るのではなく、お互いが自分に正直に、でも相手の意見も尊重するような姿勢がアサーションです。

 

アサーションとは、お互いが意見を出し合って、その上で譲ったり譲られたりしながら双方にとって納得のいく結論をだそうとすることです。

 

ここで、それぞれの3つのコミュニケーションについて、具体的にどういうコミュニケーションが行われるのかについて見てみましょう。思春期の子供が深夜に帰ってきたときの親子関係を想定して考えると、

 

いきなり「今何時だと思ってるんだ!!」と怒鳴るのが攻撃的。

 

子供が帰ってきたのを見て、何か言いたい気持ちはあるけど、何も言わずに黙って眠りにつくのが非主張的。

 

「心配したよ、電話してほしかったな」等、相手を責めるのではなく、しかしハッキリと自分の気持ちを伝えるのがアサーションです。

 

こうしてみてみると、アサーティブな自己表現をすると、自分の気持ちを素直に伝えつつ、相手にとっても気持ちの良いコミュニケーションになっていることがわかります。

 

 

どうしてアサーティブなコミュニケーションができないのか?

 

 それでは、なぜ私達はうまく自分を表現できないのか、その原因についてまずは考えてみましょう。

 

・自分の気持ちが把握できていないから

 

まず、自分の言いたいことが自分でもハッキリつかめていないときにはアサーティブになれません。なぜ自分の気持を把握できなくなるのかというと、人間は、表現しない気持ちはだんだんと忘れられてしまうからです。

 

人間は成長するにつれて、自分の気持ちを聞き入れてくれない親や、先生の態度・言動に接して、素直な自己表現をしなくなります。自分の正直な気持ちを表現しないまま成長してしまうと、自分の気持ちに向き合うことも少なくなり、結果的には自分の正直な気持ちを忘れてしまいます。

 

・結果や周囲を気にしすぎるから

 

自己表現で重要なことは、言いたいことが伝わるかどうかではなくて、自分の気持ちが適切に言えるか否かです。なぜなら、伝わるということには、自分の伝える行為と相手の受け取る行為の両方がかかわっています。

 

つまり、自分の気持ちが伝わるかどうかは受け手しだいなので、伝わらないことは自分だけのせいではないし、伝わらないことを恐れて仕方がないのです。

 

気持ちを受けとる行為は相手のものであり、受けとるかどうかは相手が自由に判断するものです。そのため、私達は結果や周囲を気にしすぎるのではなく、自分の気持ちを表現することにエネルギーを注ぐことが重要になります。

 

・自分の権利を使っていない

 

アサーションとは基本的人権の一つです。「自分がやりたいことを言うことは人権として許される」ということをきちんと理解していれば、自分が過度に相手に合わせる必要もないし、反対に、相手に自分の要求を無理におしつけることもできません。

 

例えば、夜中の2時に友人から泣きながら「婚約破棄された、電話で愚痴を聞いてほしい」と連絡が入ったとしましょう。しかし、こちらも明日は朝早くから大事なプレゼンがあり、じっくりと話を聞く余裕はありません。

 

その際に、「相手は自分の申し出に対して、同意する権利もあるし、さらに別の提案をする権利もある」ということと、「相手の意見によって、また自分の次の考えを言えばいい」ということを知っていれば、お互いにとって納得できる結果まで話し合うことができます。

 

「明日は大事なプレゼンがあって、しっかりと話は聞いてあげられない。今から10分だけ話を聞かせてもらって、続きは明日の夜でもいい?」と提案し、それに対する相手の応答を受けて、また自分の意見を伝えることを繰り返すこと。これが話し合いであり、対等な人間関係であると言えるでしょう。

 

アサーティブに自己主張するための方法

 

アサーティブになれない原因がわかったところで、次にアサーティブになるための方法を学んでいきましょう。

 

・自分の気持ち、考えをつかむ

 

さきほど、自分の気持ちをきちんと相手に伝えるためには、自分の気持ちを明確にする必要があると言いました。

しかし、非主張的な気分になっていると、素直な自分の気持ちがどこかへ消えてしまうことがあります。また、攻撃的な気持ちだと素直な自分の気持ちが歪んでしまいます。

 

そこで、自分の気持ちや考えを捉えるために、「私は」と主語をつけて文章を言うと効果的です。

 

「私は」にらまれたと思ったから嫌な気持ちがした。

「私は」違う意見を持っている。

など、「私は」を主語にして文章をつくると、自分の気持ちや考えが明確になってきます。

 

また、相手に気持ちを伝えるときにも、「私は」をつけるだけでマイルドになります。自分の気持ちや考えを相手に脅威をあたえずに伝える際にも有効な手段です。

 

・DESC法を使う

 

DESC法とは、アサーションスキルの一種で、DESC法を使うことで簡単にアサーティブな自己主張ができるようになります。ひとつずつ解説していきますね。

 

・D describe(描写する)

客観的、具体的に、自分が対応しようとする状況や相手の行動を描写する。

 

・E express explain empathize (表現する、説明する、共感する)

状況や、相手の行動に対する自分の主観的な気持ちを表現したり、説明したり、相手の気持に共感したりする。

 

・S specify (特定の提案をする)

具体的、現実的、かつ小さな行動の変化の範囲で、相手に望む行動や妥協案、解決策を提示する。

 

・C choose (選択する)

肯定的、否定的結果を想像して、それに対してどういう行動をするか選択肢を示す。

 

例えば、会議の席で、タバコを吸っている人が何人かいて、タバコの煙が苦手な自分が困っている場合についてDESC法で考えるとこうなります。

 

D 会議が始まって1時間も立ったので、会議室がタバコの煙でいっぱいですね。

E 私はタバコを吸わないので、喉が痛くて、頭もボーッとしてきました。

E タバコを吸わないと集中しにくい人もいるかと思いますが、

S しばらく休んで空気をいれかえませんか。

C そうすれば、みんなが気持ちよく、会議を続けられると思います。もし休憩をとるのが無理ならば、窓を開けて、しばらくタバコをやめていただけますか。

 

アサーションの表現に困ったときは、DESC法にならって考えるといいですよ。

 

過去と他人は変えられない

 

アサーティブに自己表現し、自分も相手も尊重した気持ちよいコミュニケーションをするためには、自分の気持ちを素直に表現すること、また、お互いの意見を尊重すること、コミュニケーションは食い違ったり、伝わらないこともあることを理解しておくことが重要です。

 

過去と他人は変えられませんが、自分が素直に表現することは自分にとっても相手にとっても必要なことです。アサーションスキルを身につけて、気持ちのよいコミュニケーションを心がけてみましょう